まずはおなじみスタバで、スペシャルティコーヒーの世界へ
2010年に【ワンランク上のコーヒー体験を楽しめる新たなラインナップ】として誕生したのがこのスターバックスリザーブである。スターバックスのイメージとして真っ先にくるのがフラペチーノであり、ブラックコーヒーを飲む場所という感じはそこまで浸透していなかった。
だって苦いんだもの。
そう、コーヒー好きの私としてもスタバのブラックはなかなかの苦さである。
(そしてついついクッキーを食べる為の口実として利用させて頂いている)
スタバのブラックは私は正直苦手だ。スペシャルティを知ってすぐの頃は何かと深煎りを敵視しがちだがその件については後日に改めよう。
さて本題である。本日訪れたのはスターバックスリザーブ Lucua osaka地下2F店。
早速5点満点で評価していこう。
【ファサード・内装】SCORE 4.5
さすが大阪地区の旗艦店。れんが造りをモチーフに随所に木の質感を融合させたシックな趣は見事である。初見でもついつい足を止めてしまうような美しさである。ではなぜ満点ではないのかって?
いきなり点数を付けすぎると、後の評価が大変だからという実に身勝手な理由である事は伏せておいて欲しい。
【ホスピタリティ】SCORE5.0
文句なしの満点である。スタバの最大の強みと断言できる。丁寧で落ち着いた接客、顧客の心にするりと入り込んでいく対人スキル、そして安定した技術。
しかし本当にすごいのはこの比較的高いレベルの接客を、割と多くの店舗で体験できる事だ。対人サービスは、その個人のモチベーションがスキルに依存する所が大きく、一般的に規模が大きくなればなるほどその標準化が難しい。エリアマネージャー等による統制や、現場のスタッフ一人一人に至るまで会社理念が共有されている事の証だろう。
あえてネガティブな要素をあげるとしたら、知人のスタバスタッフが「笑顔で居続けなければならないような風潮、風土が根付いており精神的に疲れている」とのことであった。
私個人としては、常に笑顔で居続ける必要は無いと思う。ホスピタリティというものは一つ一つの丁寧な作業や真剣な眼差しに宿り、また顧客もそのプロの姿に感銘を受けるものである。笑顔も大事かもしれないが、その心いきで顧客を自分の世界に引きずり込み魅了出来るのもこの仕事の楽しみ方のひとつではないか。
【カップ】SCORE 3.0
浅煎りのコーヒーはどれかと尋ねた所、浅煎りのコーヒーはございませんとの返答。かなりの種類の豆があったので一つくらいはあるかと思ったがやはり甘かった。
そう、スタバの豆はスペシャルティ基準であってもかなりの深煎りなのだ。もちろん深煎りを批判する気は欠片もなく、全てはバランスの問題だ。
スペシャルティの風味特性(テロワール)を最もよく感じられるのは一般的に、中浅煎り〜中煎りのほんのわずかに焙煎が進行した所くらいまでである。
深く焼く事でカラメル化が進行しやがて徐々に炭化していく。その段階において良質な酸味も分解され個性が薄まっていくのである。
中浅煎りの焙煎において最も注意すべきは生焼けによる芯残りである。少しでも芯残りがあると、エグみや嫌な酸味が口いっぱいに広がり不快感が頂点に達する。
スタバともなれば豆の焙煎量も相当な規模になる。故に失敗は許されない。
だからこそ、安全な深煎りになっているのではないかと、個人的に思っている。
カップ品質の標準化と管理も、スタッフ教育並みの制度なら言うことなしだが。
(だからこそ中小個人ロースターは完璧なカップ品質で大手と差別化し付加価値を提供できるという事でもある)
故にカップ評価でクリーンさはあるものの、素材のポテンシャルほど風味は出ていないと感じた。910円という値段もカップ品質にしては納得感が少ない。
次回専門店巡りは京都を中心にお伝えする予定です。お楽しみに。
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